リスクアセスメントについて①

各種規格

CEマーキングの機械指令ではリスクアセスメントの実施が要求されています。
本記事はリスクアセスメントの概要とリスクアセスメントの規格についての紹介記事になります。

リスクアセスメントについては, 現在調べ中なのですが, 今後も複数回に渡って記載していきたいと思いますので定期的にチェックしてみてください!

リスクアセスメントとは

製品の安全性を確認するためには, 製品における危険性や有害性のリスクを特定し, リスクの影響度を見積もりした後, そのリスクを許容できるかできないかを判断し許容できない場合はリスク低減措置を決定する必要があります。
このリスクを分析し評価するプロセスをリスクアセスメントといいます。
リスクアセスメントの手法は, 国際規格であるISO 12100 (一般原則), ISO/TR 14121-2 (実用的なガイダンス), ISO 13849-1 (制御システムの安全関連部に対しての一般原則), ISO 13849-2(制御システムの安全関連部 妥当性の確認)などで定められています。

リスクアセスメント手順の概略

リスクアセスメントの手順概略は下記になります。

手順① 機械類の制限の決定

対象となる機械の制限事項から決定します。機械の仕様を明確にし, リスクアセスメントの範囲および条件を決定します。
下記の要素を考慮し, 制限事項を決定します。

・使用上の制限
 意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用を含む使用上の制限事項
・空間上の制限
可動範囲, 運転及び保全時等の空間に関する制限事項
・時間上の制限
意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用を考慮した寿命上の制限
推奨点検修理間隔の制限
・その他制限
 加工材料の制限, 維持に必要な清掃レベルの制限, 環境面
(室内 or 屋外, 湿度, 温度, ほこり等)の制限等

手順② 危険源の同定

機械のライフサイクルの全局面について合理的に予見可能な危険源(恒久的な危険源及び予期せず出現する危険源),危険状態及び/又は危険事象を同定します。 
機械のライフサイクルの全局面とは下記になります。

・ 運搬,組立及び設置 
・ コミッショニング(立上げ,検収,引渡し,移管) 
・ 使用 
・ 分解,使用停止,及び廃棄処分

手順③ リスク見積り

すべての同定した危険源に対して, 傷害のひどさ, 回避の可能性, 危険源への暴露時間等から個々にリスクを見積ります。
リスク推定のツールとしては下記のような手法があります。

・リスクマトリックス
・リスクグラフ
・リスクスコア
・定量化されたリスク推定
・ハイブリットツール
上記のリスク分析の実用的なガイドラインについてはISO/TR 14121-2に記載されています。

手順④ リスク評価

リスク見積りが完了した後,リスク低減が必要かどうかを決定するため,リスク見積りの結果と, リスク低減の妥当性確認のためリスク評価を実施します。リスク低減が必要な場合,適切な保護方策を選定し,適用しなければなりません。
リスク低減の妥当性は,リスク低減の3ステップの各々を適用した後に決定しなければなりません。

手順⑤ リスク低減

リスク低減は,危険源を除去するか又はリスクを決定付ける次の二つの要素を個別に又は同時に低減することによって達成することができます。 
− 考慮中の危険源による危害のひどさ 
− その危害の発生確率 

この目的を達成するための全ての保護方策は,3ステップメソッドを参照し,次の順序で適用されます。

3ステップメソッドについて
・ステップ1:本質的安全設計方策 
危険源を除去するか又はリスクを低減する。(危険源自体を製品から取り除く。)
例 危険な動作部分を無くす, 鋭利な角を取り除く, 危険な材料等を, 無害なものに置き替える

・ステップ2:安全防護及び/又は付加保護方策 
危険源を除去又はリスクを十分に低減することが本質的安全設計方策で実施できない場合,意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用を考慮して適切に選択した安全防護及び付加保護方策を講じることで, リスクを低減する。
例 固定式のガードやフェンス又は囲い, インタロックガード, ライトカーテン, マットスイッチ等

・ステップ3:使用上の情報 
本質的安全設計方策,安全防護及び付加保護方策の採用にもかかわらず,リスクを十分に低減できない場合,使用上の情報で残留リスクが認識されなければならない。
例 取扱説明書や使用上の注意, メンテンナスマニュアル等の製品文書, 警告ラベル, 銘板などへの表示

※但し本質的安全設計方策,安全防護又は付加保護方策を適切に適用するところを,使用上の情報で代替してはなりません。

リスアセスメントに関係する規格

・ISO 12100: 2010
Safety of machinery — General principles for design — Risk assessment and risk reduction
機械類の安全性−設計のための一般原則− リスクアセスメント及びリスク低減 
※旧規格 EN ISO 12100-1:2003, EN ISO 12100-2:2003, EN ISO 14121-1:2007の内容を統合したリスクアセスメントに関する一般的な原則についての規格。

・ISO/TR 14121-2:2012
Safety of machinery — Risk assessment — Part 2: Practical guidance and examples of methods
機械の安全性—リスクアセスメント—パート2:実用的なガイダンスと方法の例
※リスク見積もりとリスク評価の実用的な方法についての規格。

・ISO 13849-1:2015
Safety of machinery-Safety-related parts of control systems- Part 1: General principles for design 
機械類の安全性−制御システムの安全関連部− 第1部:設計のための一般原則 
※リスクアセスメントのなかで制御システムを使ってリスク低減を行う場合に, その制御システムの安全関連部の設計とその妥当性評価にこの規格を適用します。

・ISO 13849-2:2012
Safety of machinery-Safety-related parts of control systems- Part 2: Validation 
機械類の安全性−制御システムの安全関連部−第2部:妥当性確認
※ISO 13849-1に基づいた, 制御システムの安全関連部の安全機能, カテゴリの分析と試験による妥当性確認の手順と条件を規定しています。

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