EMC試験におけるシステムの不確かさについて④ | 不確かさ Ucispr

EMC

EMC試験サイトでは、試験システム全体の不確かさを把握することが求められます。中でも、測定装置に関する不確かさ(MIU:Measurement Instrumentation Uncertainty)は、CISPR 16-4-2において定められており、適合性判定の実務において重要な役割を果たしています。

CISPR 16-4-2では、「Ucispr」と呼ばれる、代表的な試験システム(測定器・試験環境・手法)を使ったときの拡張不確かさの参考値が掲載されています。本記事では、そのUcisprの数値をご紹介します。

なお、試験所が独自に算出した不確かさの値については、「Ulab」という名称で区別されています。

  • Ucispr: 妨害波測定法において規定される測定装置の拡張不確かさの CISPR 基準、単位はdB。
  • Ulab: 試験所で決定された測定装置の拡張不確かさ、単位はdB。

※本記事に記載の情報は内容を保証するものではありませんので詳細は規格原文をご確認ください。

Ucisprについて

表1 – Ucispr の値

測定項目
Ucispr
AMNを用いた電源ポート伝導妨害波測定
AMNの不確かさ
9kHz-150kHz 3.8 dB
150kHz-30MHz 3.4 dB
VPを用いた電源ポート伝導妨害波測定 9kHz-30MHz 2.9 dB
AANを用いた通信ポート伝導妨害波測定 150kHz-30MHz 5.0 dB
CVPを用いた通信ポート伝導妨害波測定 150kHz-30MHz 3.9 dB
CPを用いた通信ポート伝導妨害測定 150kHz-30MHz 2.9 dB
CDNEを用いた電源ポート伝導妨害波測定 30MHz-300MHz 3.8 dB
妨害波電力 30MHz-300MHz 4.5 dB
放射妨害波測定(OATS又はSACにおける電界強度) 30MHz-1000MHz 6.3 dB
放射妨害波測定(FARにおける電界強度) 30MHz-1000MHz 5.3 dB
放射妨害波測定(FARにおける電界強度) 1GHz-6GHz 5.2 dB
放射妨害波測定(FARにおける電界強度) 6GHz-18GHz 5.5 dB

適合性判定
妨害波許容値への適合又は不適合は、以下の方法で決定されることになります。

  • Ulab が表1のUcispr 以下の場合、
    妨害波測定値が許容値を超えていなければ適合しているものとみなす。
    妨害波測定値のいずれかが、許容値を超えた場合は不適合であるとみなす。
  • Ulab が表1のUcispr より大きい場合、
    妨害波測定値に(Ulab -Ucispr )を加えた値が許容値を超えていなければ、適合しているものとみなす。
    妨害波測定値に(Ulab -Ucispr )を加えた値が許容値を超えた場合は、不適合であるとみなす。

その他

参考URL

-総務省による公開資料
https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/inter/cispr/hyousi/c16-4-2.pdf
000649063.pdf

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