本記事は欧州における無線機器指令 RED (2014/53/EU、Radio Equipment Directive)における必須要件についての概要について解説します。
※本記事に記載の情報は内容を保証するものではありませんので詳細は規格原文をご確認ください。
RE指令(Radio Equipment Directive、2014/53/EU)の概要
RE指令は、欧州連合(EU)において、無線機器を市場で利用可能にし、サービスを開始するための規制の枠組みを確立した欧州連合の指令となります。安全性と健康、電磁両立性、および無線資源の効率的な使用に関する要件を設定することにより、無線機器が安全かつ効率的に使用されることを確保することがこの指令の目的になります。また、RE指令では追加の側面を管理する規制の基礎も提供しています。(充電器の共通化、サイバーセキュリティ要件、相互運用性、緊急サービスへのアクセス、ソフトウェアの組み合わせ要件等)
以下定義
無線機器: 無線通信および/または無線測定の目的で意図的に電波を放射および/または受信する電気または電子製品、または無線通信および/または無線測定の目的で意図的に電波を放射および/または受信するためにアンテナなどの付属品を装着する必要がある電気または電子製品を意味します。
無線通信: 電波による通信
無線測定: 電波の伝搬特性により、物体の位置、速度、及び/又はその他の特性を決定すること、又はこれらのパラメータに関連する情報を取得すること。
主な対象製品例:
-無線LAN、Bluetooth等の短距離無線機器(SRD)、RFID、NFCなど
-携帯電話、携帯基地局
-レーダー、センサー
-衛星通信用機器(GPSなど)、ラジオ受信機 など
RE指令における必須要件
RE指令では、第3条(Article 3)において無線機器の必須要件が規定されています。機器を市場に投入するためには、該当する要件に適合していることが必要です。
健康と安全の保護に関する要件: Article 3 (1) (a)
必須要件1: 人および家畜の健康と安全および財産の保護を確保すること。
この中には、LVD (2014/35/EU)に定められた安全要件に関する目的も含まれています。但しREDでは電圧制限は適用されません。電圧に関係なく、同様の安全基準が適用されます。
EMCに関する要件: Article 3 (1) (b)
必須要件2: EMC指令 2014/30/EUに規定されている適切なレベルの電磁両立性を確保すること。
無線機能および通常性能に関しての電磁両立性の確保が求められています。
無線スペクトルに関する要件: Article 3 (2)
必須要件3: 無線機器は、有害な干渉を避けるために、無線スペクトルの効果的な使用と効率的な使用を支援するように構築されなければならない。
適用する整合規格により以下のような項目の評価が必要になります。
-送信機: 放射電力、電力密度、周波数範囲、周波数安定度、変調方式、変調帯域幅、送信の持続期間や間隔、周波数ホッピングのパターン、出力の制御や、帯域共有干渉防止に関係する機能、スプリアス・エミッション等
-受信機: スプリアス・エミッション、隣接チャネル選択度、ブロッキング等
特定の無線機器に関する要件: Article 3 (3)
RE指令は、無線機器の単一市場を確保するため、以下に記載するいくつかの追加的な規制基盤も提供しています。これには、プライバシー、個人データの保護、および詐欺に対する技術的機能が含まれ、さらに、相互運用性、緊急サービスへのアクセス、無線機器とソフトウェアの組み合わせに関するコンプライアンスに関するその他の側面をカバーしています。
必須要件4: 特定のカテゴリーまたはクラス内の無線機器は、次の必須要件に準拠するように構築されなければならない。(RE指令 Article 3 (3) (a)〜(i))
(a) 無線機器はRE指令 Annex IaのパートIに規定されたカテゴリーまたはクラス向けの充電器以外の周辺機器と協調して動作すること。これらはArticle 4で特に言及されています。※1
※1: RE指令 Article 4は無線機器とソフトウェアの組み合わせの適合についての情報を提供しています。
(b) 無線機器は、ネットワークを介して他の無線機器と協調して動作すること。
(c) 無線機器は、EU全域で適切なタイプのインターフェースに接続できること。
(d) 無線機器は、ネットワークまたはその機能に害を及ぼしたり、ネットワークリソースを誤用したりせず、それによってサービスの許容できない低下を引き起こさないこと。※2
(e) 無線機器には、ユーザーおよび加入者の個人データとプライバシーが保護されることを保証するための保護手段が組み込まれていること。※2
(f) 無線機器は、詐欺からの保護を保証する特定の機能をサポートしていること。※2
※2: (d), (e), (f)はサイバーセキュリティに関連する要件です。以下は関連する補足規則です。
-欧州委員会委任規則 (EU) 2022/30, Article 3.3 (d), (e), (f)補足
Delegated regulation – 2022/30 – EN – EUR-Lex
-(EU) 2025/138, サイバーセキュリティに関する整合規格
Implementing decision – 2025/138 – EN – EUR-Lex
(g) 無線機器は、緊急サービスへのアクセスを確保する特定の機能をサポートしていること。※3
※3: 以下は関連する補足規則です。
-欧州委員会委任規則, (EU) 2019/320 Article 3.3 (g)の補足
Delegated regulation – 2019/320 – EN – EUR-Lex
(h) 無線機器は、障害を持つユーザーによる使用を容易にするために、特定の機能をサポートしていること。
(i) 無線機器は、無線機器とソフトウェアの組み合わせのコンプライアンスが実証されている場合にのみソフトウェアを無線機器にロードできるようにするために、特定の機能をサポートしていること。
共通充電器に関する要件: Article 3 (4)
共通充電器に関する要件は、充電ポートと急速充電プロトコルの整合によって充電器の製造と廃棄に関連する環境への影響と消費者による新たな充電器の購入を削減することを目的としています。
必須要件5: RE指令 Annex IaのパートIに規定されたカテゴリーまたはクラスに該当する無線機器は、Annex Iaに定める充電能力に関する仕様に準拠するように構成されなければならない。
RE指令 Annex Ia パートI にリストされている機器
パートI にリストされている機器は以下の通りです。
(2024/12/28より共通充電器に関する要件への適用が開始となりました。)
携帯電話、タブレット、デジタルカメラ、ヘッドホン、ヘッドセット、手持ち型ビデオゲーム機、ポータブルスピーカー、電子書籍リーダー、キーボード、マウス、ポータブルナビゲーションシステム、イヤホン、ラップトップ (※4)
※4: ラップトップは2026/4/28以降に適用されます。
-共通充電ソリューションに関する規則
The EU common charger
パートI にリストされている機器に求められている充電機能
パートI にリストされている機器は充電機能に関して以下の要求に従う必要があります。
充電ポートに関しての要件
-USB Type-Cレセプタクルを備え、そのレセプタクルは常にアクセス可能で動作可能な状態を維持すること
-USB Type-C ケーブル及びコネクタの規格に準拠したケーブルで充電できること
急速充電技術に関してのY要件
(5Vを超える電圧、3Aを超える電流、または15Wを超える電力で有線充電することができる場合)
-USB Power Deliveryに対応すること。
-任意の追加充電プロトコルは、使用する充電デバイスに関係なく、USB Power Deliveryの完全な機能が使用できるようにしなければならない。※5
※5:異なる生産者が充電速度を不当に制限することを防ぐことを目的としています。
充電レセプタクルとプロトコルに関する技術仕様
-欧州委員会委任規則, (EU) 2023/1717, 充電レセプタクルおよび充電通信プロトコルの技術仕様Delegated regulation – 2023/1717 – EN – EUR-Lex
充電機能と互換性のある充電デバイスに関する仕様に関する情報表示
無線機器には、充電機能および互換性のある充電デバイスに関連する以下情報を表示する必要があります。また、QRコードやその他の電子的手段を通じて、この情報を利用可能にすることもできます。
有線充電デバイスの電力要件の説明
無線機器の充電に必要な最小電力および最大充電速度で充電するために必要な最大電力、これらの電力をワット(W)単位で明示し、次のテキスト文を表示する形で提供するものとする。
“the power delivered by the charger must be between min [xx] Watts required by the radio equipment, and max [yy] Watts in order to achieve the maximum charging speed”
充電プロトコルに関する表示
5Vを超える電圧、3Aを超える電流、または15Wを超える電力で有線充電することができる場合、“USB PD fast charging” というテキストにより無線機器が USB Power Delivery の充電プロトコルをサポートしていることを示す。またその他の充電プロトコルに対応している場合は、そのプロトコル名もテキストで表示すること。
充電能力と互換性のある充電デバイスに関するラベル表示
上記指示が製品マニュアルに含まれることに加えて、パートIVに規定されたラベルとしても表示する必要があります。このラベルは、マニュアルとパッケージに印刷する必要があり、オンライン販売の場合は価格表示の近くに表示する必要があります。
パートIV 充電能力と互換性のある充電デバイスに関する仕様を示すラベル

-RE指令の改正 共通充電ソリューションの要件を定義
Directive – 2022/2380 – EN – EUR-Lex
充電器の販売を無線機器の販売から切り離す要件: Article 3a
この要件は、消費者が新しい充電器なしで無線機器を購入できるようにすることを目的としています。これにより、不要な充電器の購入を削減し、環境負荷を軽減することが期待されています。
必須要件6: 充電器なしで無線機器を購入する選択肢の提供と充電器同梱に関する情報提供。
Article 3 (4)に無線機器を充電器と一緒に購入する選択肢を提供する場合、消費者および他のエンドユーザーには、充電器なしで無線機器を取得する選択肢も提供しなければなりません。また、充電器が同梱されているかどうかに関する情報は、パートIIIに規定されたピクトグラムを用いてグラフィック形式で表示する必要があります。ピクトグラムは目に見える読みやすい方法で表示されパッケージに印刷するか、ステッカーとしてパッケージに貼付する必要があります。またオンライン販売の場合は価格表示の近くに表示する必要があります。
パートIII 無線機器に充電装置が含まれているかどうかを示すピクトグラム

同梱されている場合のピストグラム

同梱されていない場合のピストグラム
-RE指令の改正 共通充電ソリューションの要件を定義
Directive – 2022/2380 – EN – EUR-Lex
参考情報
以下必須要件を補足する情報として記載いたします。
無線機器とソフトウェアの組み合わせの適合性に関する情報提供
RE指令の第4条(Article 4)は無線機器とソフトウェアの組み合わせが、必須要件を満たしているかどうかを、透明性をもって確認・報告するためのルールを定めています。※6
1. 無線機器及び無線機器を意図したとおりに使用できるようにするソフトウェアの製造業者は、加盟国及び委員会に対し、無線機器及びソフトウェアの意図された組み合わせがRE指令 Article 3に定める必須要件に適合していることに関する情報を提供するものとする。当該情報は、Article 17に従って実施される適合性評価から生じるものとし、Annex VIに定める要素を含む適合宣言書の形式で提供されるものとする。無線機器とソフトウェアの特定の組み合わせに応じて、評価された無線機器とソフトウェアの情報は正確に識別し、継続的に更新されるものとする。
2. 委員会は、Article 44の規定に従い、無線機器のどのカテゴリー又はクラスがこの第4条の上記1.に定める要件に関係するかを定める委任された法律を採択する権限を有する。
3. 委員会は、この第4条の上記2.の規定に従って採択された委任された法令により定められたカテゴリー及びクラスについて遵守に関する情報を利用可能にするための運用規則を定める実施法を採択する。実施行為は、Article 45(3)の審査手続に従って行う。
※6 将来的に委任規則等が採択されると、無線機器およびそのソフトウェアに関する適合性情報の欧州委員会への提供義務が課せられる可能性があります。ただし、無線機器を意図された通りに動作させるために必要なソフトウェアの情報については、適合宣言書と取扱説明書に記載する必要があることに留意してください。
適合性評価手順
RE指令の第17条(Article 17)は適合性評価手続き(Conformity assessment procedures)に関する条文で、製造業者が無線機器をEUの法的要求に適合させるための方法・手順を定めています。
1. 適合性評価の実施
製造業者は、無線機器が第3条(Article 3)に定められた必須要件を満たすかどうかを評価します。適合性評価は、無線機器のすべての運転条件を考慮し、また健康と安全に関する要件(Article 3 (1) (a))に定める必須要件については、合理的に予見可能な条件も考慮する。無線機器は異なる構成が可能な場合は、すべての可能な構成において必須要件を満たしているか確認するものとする。
2. 適合性の実証
製造業者は、無線機器が定められた必須要件に準拠していることを実証するものとします。Article 3 (1)(健康と安全及びEMC)とArticle 3 (4)(共通充電器の要件)は、次の適合性評価手続のいずれかを用いること。
(a) Annex IIに定められた内部生産管理※7
(b) Annex IIIに規定された内部生産管理に基づく型式への適合性に続くEU型式試験※8
(c) Annex IVに規定された完全な品質保証に基づく適合性※9
3. 整合規格を適用する場合
Article 3 (2)(無線要件)およびArticle 3 (3)(特定の機器への要件)の必須要件に対する適合性評価で、整合規格を欧州連合官報に掲載された参照に基づき適用する場合、製造業者は次のいずれかの手順を使用します:
(a)Annex IIに定められた内部生産管理※7
(b)Annex IIIに規定された内部生産管理に基づく型式への適合性に続くEU型式試験※8
(c)Annex IVに規定された完全な品質保証に基づく適合性※9
4. 整合規格を適用しない場合
Article 3 (2)(無線要件)およびArticle 3 (3)(特定の機器への要件)の必須要件に対する適合性評価で、欧州連合官報に掲載された参照規格を適用していない場合、または部分的にしか適用していない場合、無線機器は次のいずれかの手順を使用します:
(a) Annex IIIに規定された内部生産管理に基づく型式への適合性に続くEU型式試験※8
(b) Annex IVに規定された完全な品質保証に基づく適合性※9
※7: 内部生産管理 (INTERNAL PRODUCTION CONTROL, Module A)
※8: EU型式試験 (EU-TYPE EXAMINATION, Module B, C)
※9: 完全な品質保証 (FULL QUALITY ASSURANCE, Module H)
Moduleについては以下記事参照ください。
CEマーキングにおける適合性評価手順に関しての記事になります。 | EMCエンジニアの雑記ブログ
EU適合宣言書の内容
EU適合宣言書(EU Declaration of Conformity)はRE指令 Annex VIに定められた以下モデル構成に従って作成されなければなりません。
1. Radio equipment (product, type, batch or serial number):
無線機器(製品、タイプ、バッチまたはシリアル番号):
2. Name and address of the manufacturer or his authorised representative:
製造業者またはその正式な代表者の名前と住所:
3. This declaration of conformity is issued under the sole responsibility of the manufacturer.
“この適合宣言書は製造者の単独責任において発行された”旨の記述
4. Object of the declaration (identification of the radio equipment allowing traceability; it may include a colour image of sufficient clarity where necessary for the identification of the radio equipment):
宣言の対象(トレーサビリティを可能にする無線機器の識別、無線機器の識別に必要な場合には、十分な鮮明さのカラー画像を含む):
5. The object of the declaration described above is in conformity with the relevant Union harmonisation legislation:
“上記の宣言対象は, 関連する欧州連合の法律に適合している”旨の記述
Directive 2014/53/EU
指令2014/53 / EU
Other Union harmonisation legislation where applicable
その他のEU調和法(該当する場合)
6. References to the relevant harmonised standards used or references to the other technical specifications in relation to which conformity is declared. References must be listed with their identification number and version and, where applicable, date of issue:
使用した関連する整合規格の参照、または適合性が宣言されている他の技術仕様の参照。参照は、識別番号とバージョン、および該当する場合は発行日とともにリストする。
7. Where applicable, the notified body … (name, number) … performed … (description of intervention) … and issued the EU-type examination certificate: …
該当する場合 “ノーティファイドボディ ([名称], [番号]) が [関与した内容]に関与し,証明書を発行した。”旨の記述
8. Where applicable, description of accessories and components, including software, which allow the radio equipment to operate as intended and covered by the EU declaration of conformity:
該当する場合、無線機器が意図したとおりに動作し、EU適合宣言の対象となるソフトウェアを含むアクセサリおよびコンポーネントの説明。
9. Additional information:
Signed for and on behalf of: …
(place and date of issue):
(name, function) (signature):
追加情報
[場所], [発行日]
[氏名, 役職], [自筆サイン]
事業者の義務
EU市場に無線機器を供給する際に以下のような義務が求められます。本記事内では製造業者および輸入業者の義務を抜粋して整理したものです。その他の経済事業者の義務については、本記事では省略しております。
製造業者 (manufacturers)の義務
製造業者※10は次の義務を持ちます。(RE指令 Article 10に基づく)
1. 無線機器がこの指令の須要件に従って設計および製造されていることを確かとする。
2. 無線機器が、無線スペクトルの使用に適用される要件を侵害することなく、少なくとも一つの加盟国で運用できるように構築されていることを確かとする。
3. 第17条(Article 17)の適合性評価の実施と第21条(Article 21)に規定される技術文書の作成。無線機器が該当する要件に準拠している場合、EU適合宣言の作成と、CEマーキングの貼付を行う。
4. 技術文書と適合宣言書をその機器が市場に出されてから10年間保管。
5. 製造された機器が引き続き指令に適合することを確保するため、量産における適切な手順を整備・実施すること。機器の設計変更や特性の変更、整合規格の変更などを適切に考慮する。また、機器が与えるリスクに対して適切と考えられる場合、市場に出された製品に対する抜き取り試験、不適合の調査、苦情の記録・管理などを行い、その結果については流通業者に周知するものとします。
6. 製造業者は、識別を可能にする型式、バッチ、シリアル番号、またはその他の要素を機器本体に貼付すること。機器のサイズや性質のために機器への表示が不可能な場合、必要な情報はパッケージや添付文書に記載する。
7. 製造業者は、製造業者の名前、登録商号、または登録商標、および連絡可能な単一の住所を機器本体に貼付すること。機器のサイズや性質のために機器への表示が不可能な場合、必要な情報はパッケージや添付文書に記載する。連絡先の詳細は、エンド・ユーザーと市場監視機関が容易に理解できる言語で記載しなければならない。
8.製造業者は、関係する加盟国の定めに従い、消費者およびその他のエンドユーザーが容易に理解できる言語で記載された指示および安全に関する情報が無線機器に添付されていることを確認しなければならない。これらの指示には、無線機器を本来の使用目的に沿って適切に使用するために必要な情報を含めるものとする。また、該当する場合、無線機器が意図どおりに動作するために必要なソフトウェアを含むアクセサリやコンポーネントに関する説明も含めるものとする。これらの指示、安全情報、ならびにラベルは、明確で、理解しやすく、誤解を招かない表現で記載されていなければならない。
無線機器が意図的に電波を放射する場合、説明書には次の情報も含まれること。
a. 無線機器が動作する周波数帯。
b. 無線機器が動作する周波数帯域で送信される最大無線周波数電力。
また、Article 3(4)の必須要件の対象となる機器の場合、充電デバイスに関する情報を記載し、また所定のラベルを付けなければならない。その機器を消費者やエンドユーザーが入手可能とする際はそのラベルを目に付きやすいように、オンライン販売の場合は価格の表示の近くに表示すること。
9. EU適合宣言のコピーまたは簡略化されたEU適合宣言が機器に添付されていること。簡易的なEU適合宣言書が提供される場合、EU適合宣言書の全文を入手できる正確なインターネットアドレスを含めること。
10. 使用開始に関する制限または使用許可の要件がある場合、パッケージに記載される情報によって、当該制限や要件が適用される加盟国、または加盟国内の特定の地理的地域が識別できるようにしなければならない。またこれらの情報は、無線機器に添付される使用説明書に詳細(実際の制限または要件等)を記載する必要がある。
パッケージへの制限表示に関しての要求
以下規則に規定されています。
-欧州委員会委任規則, (EU) 2017/1354, Article 10 (10)に規定されている情報の提示方法の指定
Implementing regulation – 2017/1354 – EN – EUR-Lex
制限表示に関しての要求概要
使用開始に関する制限または使用許可の要件がある場合は以下のピクトグラムの下または横に、当該事項が存在する加盟国の略語を記載することになります。
ピクトグラムと略語の組み合わせ

加盟国の略語
Belgium (BE), Bulgaria (BG), Czech Republic (CZ), Denmark (DK), Germany (DE), Estonia (EE), Ireland (IE), Greece (EL), Spain (ES), France (FR), Croatia (HR), Italy (IT), Cyprus (CY), Latvia (LV), Lithuania (LT), Luxembourg (LU), Hungary (HU), Malta (MT), Netherlands (NL), Austria (AT), Poland (PL), Portugal (PT), Romania (RO), Slovenia (SI), Slovakia (SK), Finland (FI), Sweden (SE) and United Kingdom (UK).
使用開始に関する制限または使用許可の該当機器について
RE指令内では明確に記載されていませんが、いずれかの国や地域で使用に関する制限の対象と
なる機器とならない機器についての定義は欧州委員会決定に記載があります。
-欧州委員会決定, 2000/299/EC, 無線機器クラスの定義について
Decision – 2000/299 – EN – EUR-Lex
以下無線機器クラス概要
クラス1 機器: 制限なく市場に投入し、使用することができる無線機器
クラス2 機器: 加盟国が市場投入に制限を適用した無線機器、そのような制限がある国や地域についての情報の表示が必要
クラス1 機器については以下URLで情報を確認できます。
Radio Equipment Directive (RED) – European Commission
DocsRoom – European Commission (クラス1の範囲の機器の指標となる非網羅的なリスト)
使用制限に関しては以下のような例となります。
使用する周波数、出力や変調などのパラメータがその用途では特定の加盟国でのみ許容される。
使用のための個別の免許や特定の条件への適合が必要。
屋内での使用のみが可能。等になります。EU各国でのスペクトラム割り当てや制限については、以下で確認できます。
-ECO Frequency Information System, 無線周波数に関する公式のデータベースシステム
ECO Frequency Information System
11. 市場に投入した無線機器がこの指令に準拠していないと判断された場合、その無線機器を適合させるために必要な是正措置を直ちに講じ、必要に応じて撤回またはリコールするものとする。さらに、無線機器がリスクをもたらす場合、製造業者は、無線機器を市場に出した加盟国の管轄国内当局に直ちにその旨を通知し、特に、不適合、講じられた是正措置、およびその結果の詳細を提供するものとする。
12 当局からの要求があったならば、指令への適合を示す全ての情報を、当局が容易に理解できる言語で提出する。当局から要請があった場合、市場に出された機器がもたらすリスクの除去のための全ての活動に協力するものとする。
※10: 製造業者とは、無線機器を製造、または無線機器を設計または製造し、その機器をその名前または商標で販売する自然人または法人を意味します。
輸入業者 (importers)の義務
輸入業者※11は次の義務を持ちます。(RE指令 Article 12に基づく)
1.輸入者は、適合した無線機器のみを市場に出すものとする。
2.輸入業者は、無線機器を市場に出す前に、以下の点を確認し、確かとすること。
-製造業者が第17条(Article 17)に定められた適切な適合性評価手続きを実施していること。
-無線機器が、無線スペクトルの使用に関する適用要件を侵害することなく、少なくとも一つの加盟国で運用可能であるように設計されていること
-製造業者が技術文書を作成していること
-無線機器にCEマーキングが表示されており、第10条(8)、(9)、(10)(Article 10 (8), (9), (10))で求められる情報および文書が添付されていること。
-製造業者が第10条(6)および(7)(Article 10 (6), (7))の要件を遵守していること
また、輸入業者は、無線機器が必須要件に適合していない、またはそのおそれがあると判断した場合、当該機器を適合させるまでは市場に上市してはならない。加えて、無線機器にリスクが認められる場合には、速やかにその旨を製造業者および市場監視当局に通知する。
3.輸入業者は、輸入業者の名前、登録商号、または登録商標、および連絡可能な単一の住所を機器本体に貼付すること。機器のサイズや性質のために機器への表示が不可能な場合(無線機器のサイズが許さない場合や輸入業者が無線機器に名前と住所を記載するためにパッケージを開ける必要がある場合が含まれる。)、必要な情報はパッケージや添付文書に記載する。連絡先の詳細は、エンドユーザーと市場監視機関が容易に理解できる言語で記載しなければならない。
4. 輸入業者は、消費者やその他のエンドユーザーが容易に理解できる言語で書かれた指示と安全情報が添付されていることを確かとする。Article 3(4)の必須要件の対象となる機器の場合、その機器を消費者やエンドユーザーが入手可能とする際は、充電デバイスに関する情報の記載、また所定のラベルの貼付及びラベルを目に付きやすいように、オンライン販売の場合は価格の表示の近くに表示されていることを確かとする。
5.輸入者は、無線機器が自己の責任下にある間、その保管又は輸送条件によって必須要件の遵守を危うくしないことを確かとする。
6.輸入業者は、無線機器がもたらすリスクに関して適切と認めるときは、エンドユーザーの健康と安全を保護するため、市場に出回っている無線機器のサンプル試験を実施し、不適合な無線機器及び無線機器のリコールについて調査し、必要に応じて苦情の登録を行い、販売業者に当該監視について通知しなければならない。
7.輸入者は、自らが市場に出した無線機器がこの指令に適合していないと考える又は信じるに足る理由があるときは、当該無線機器を適合させるために必要な是正措置を直ちに講じ、適当な場合には、当該無線機器を撤回し、又は回収しなければならない。さらに、無線機器がリスクをもたらす場合、輸入者は、無線機器を市場に出した加盟国の管轄国内当局に直ちにその旨を通知し、特に違反および講じられた是正措置の詳細を提供する。
8.輸入業者は、無線機器が市場に出されてから10年間、市場監視当局が自由に使えるEU適合宣言書の写しを保管し、要求に応じて技術文書をこれらの当局が利用できるようにするものとする。
9.輸入業者は、権限のある国内当局からの合理的な要請に加えて、無線機器の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を、当該当局が容易に理解できる言語で書面又は電子的形態で提供しなければならない。その要請に応じて、市場に出している無線機器によってもたらされるリスクを排除するために取られた行動について、当局に協力するものとする。
※11: 輸入業者とは、第三国の無線機器を連合市場に出品する、EU内に設立された自然人または法人を意味します。
参考URL:
-European Commission HP, Directive 2014/53/EU
EUR-Lex – 02014L0053-20241228 – EN – EUR-Lex
-European Commission HP, Radio Equipment Directive (RED) 補足情報
Radio Equipment Directive (RED) – European Commission
-株式会社e・オータマ 資料
無線機器指令 2014/53/EU への適合のためのガイド (第7版)
-アシストCE株式会社 HP
無線機器指令(RED:Radio Equipment Directive) | アシストCE株式会社
– Bundesnetzagentur HP
Bundesnetzagentur – Interface specifications
-ECO Frequency Information System HP, RE Equipment Classesについて
ECO Frequency Information System
-欧州自由貿易連合(EFTA) HP, Factsheet – 32000D0299
Factsheet – 32000D0299 | European Free Trade Association
-総務省資料, 欧州における認証制度の現状
05.pdf
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