過電圧カテゴリについて

製品安全

過電圧カテゴリについて記事にしました!

過電圧カテゴリ概要

製品安全に関する定義の中に過電圧カテゴリなるものが存在します。
この過電圧カテゴリは耐インパルスカテゴリとも呼ばれており低圧の電源系統に接続される電気機器は設置される環境によってⅠ~Ⅳのカテゴリに分類され, 各設置環境に応じた予想される過渡的過電圧(インパルスノイズ)の状態を定義した数値となります。
また数字が大きいほど, 外部引き込み線に近い設置環境となり, より大きい過渡的過電圧(インパルスノイズ)に耐える回路設計が求められます。
本記事では過電圧カテゴリ(耐インパルスカテゴリ)の分類について記述しましたのでご参考ください。

過電圧カテゴリ概念

低圧の電源系統には, 雷による誘導雷あるいは容量性・誘導性負荷の開閉によって過渡的な過電圧が生じる可能性があります。
このとき予想される過渡的過電圧(インパルスノイズ)の大きさは電気機器を設置する環境によって大小のレベルが規定されており, 過電圧カテゴリⅠ,Ⅱ,Ⅲ及びⅣを用いて分類されます。
またこの過電圧カテゴリの概念は,低圧系統電源から直接給電される機器のために用いられる用語となります。

過電圧カテゴリ設置環境概略図

過電圧カテゴリ一般的な分類

– 過電圧カテゴリⅣ
過電圧カテゴリIVの機器は建造物の入口と主配電盤との間で,建造物への電気供給源又はその近傍に設置する機器に対するものである,例えば,主分電盤の電源側での使用に適している。 
過電圧カテゴリIVの機器は,必要とする高い信頼性を提供する非常に高いインパルス耐電圧性能をもっている。 このような機器の例としては,電力量計,一次過電流保護装置及びリップル抑制装置がある。 

– 過電圧カテゴリⅢ
過電圧カテゴリⅢは, 建造物の配電設備の一部を構成することを意図する機器に対するものである高い利用性を備えていて,主分電盤を含む固定設備の負荷側での使用に適している。 
このような機器の例としては,分電盤,遮断器,配線設備[電線,母線,接箱,開閉器及びコンセントを含む],及び工業用機器並びにその他の機器,例えば,固定設備(恐らく主分電盤内の遮断器等を指している)に常時接続している据付形電動機がある。
※ここでいう固定設備とは主分電盤に直接接続される遮断器や配線設備, コンセント(分電盤からコンセントまでの電路但しコンセントから負荷側の装置は除く)および主分電盤に直接接続される産業装置等を指すものと思われます。

– 過電圧カテゴリⅡ
過電圧カテゴリⅡの機器は, 建造物の配線から給電することを意図する機器に対するものである。これは,プラグ接続形機器及び永続接続形機器の両方に適用され電気使用機器に通常要求する普通の利用等級を備えていて,固定設備から供給されるエネルギーを消費する機器である。このような機器の例としては,家電機器,可搬形工具並びにその他の家庭用及び類似の装置及びこれに類する負荷がある。 
※コンセントに接続される機器または制御盤内(固定設備内)に設置して使用する装置等が該当すると思われる。

– 過電圧カテゴリⅠ
過電圧カテゴリIの機器は,過渡過電圧を適切な低レベルに制限するための処置が講じられている回路に接続される機器であり, 規定のレベルにまで過渡過電圧を抑制するために,機器の外部に保護手段を適用する建築物の固定設備での使用だけにしか適していない。
(過電圧カテゴリⅠに該当する機器は供給配電系統に直接接続してはならない。 )
このような機器の例としては,機器外部の保護手段でこのレベルまで保護される電子回路をもつ機器である。コンピュータ,電子式プログラム付き電気器具などのような電子回路を内蔵する機器がある。 
※コンセントからトランスなどを経由した電気機器内の2次側回路等

参考にした規格番号と項番
JIS C 1010-1:2014, 附属書 K項
JIS C 60364-4-44:2011, 443.2.2項
JIS C 60664-1:2009, 4.3.3.2.2項 

補足情報

【補足】過電圧減衰手段の例

JIS C 60664-1:2009, 4.3.3.6項に過電圧の減衰方法については「次の方法で達成することができる。」 との記載があります。ご参考まで

過電圧減衰手段の例
− 過電圧保護装置 
− 絶縁変圧器 
− 多くの分岐回路(サージエネルギーを分路することができる。)をもつ配電系統 
− サージエネルギーを吸収することができるキャパシタンス 
− サージエネルギーを消散させることができる抵抗又は同種の減衰装置 
※コンセントから先がなぜカテゴリIIになるかというと分岐回路をもつ配電系統に該当するためと思われます。

その他

参考にしたホームページ
下記ホームページを参考にさせていただきました

Electrical Information:
https://detail-infomation.com/cat-overvoltage-category/

SPDに関連する法規・JIS:
https://spd.hiraishinkouji.net/rules/

エムエスツーデー:
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_standard/0909/index.html

参考文献

JIS C 1010-1:2014
測定用,制御用及び試験室用電気機器の安全性−第 1 部:一般要求事項

JIS C  60364-4-44:2011
低圧電気設備−第4-44部:安全保護− 妨害電圧及び電磁妨害に対する保護

JIS C 60664-1:2009
低圧系統内機器の絶縁協調− 第1部:基本原則,要求事項及び試験

 

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