オーストラリアにおけるRCMマークについての解説記事になります。

オーストラリアに輸出される機器に関する規制としてはRCM(Regulatory Compliance Mark)が存在します。今回はRCMマークにおける要件をまとめましたので参考ください。

※本記事に記載の情報は内容を保証するものではありませんので詳細は規格や法規原文をご確認ください。

RCMマーク概要
1. EESS（電気用品安全システム）におけるRCM
2. ACMAのラベリング要件におけるRCM
その他

RCMマーク概要

RCMは, 次の2つの独立したスキームへの準拠を表すシンボルとなり, 対象となる電気機器はRCMへの適合を表すマークを表示する必要があります。

RCMにおけるスキーム (該当する場合は２つのスキームに適合しなければなりません。)
・EESS
・ACMAのラベリング要件

※EESS: Electrical Equipment Safety System（電気用品安全システム）
電気用品の安全管理を担当する組織ERAC: Electric Regulatory Authorities Council (電気用品安全管理連合会）によって統一された電気用品の安全のため制度

※ACMA: Australian Communications and Media Authority(オーストラリア通信メディア庁)
EMC, 無線, 通信機器, EME (電磁界への人体の曝露)について管轄当局

EESS（電気用品安全システム）におけるRCM

規制当局/管理,ルール	対象製品	リスクレベルに基づく製品分類
ERAC/EESS	定格電圧50VACrms / 120VDC (リップルフリー)を超え, 1000VACrms / 1500VDC(リップルフリー)未満の家庭用、個人用、または同様の使用に適したように設計または販売されるもの(※) ※但し,機器が商業目的または工業目的であっても規制当局が対象範囲内であると主張した場合に，責任あるサプライヤーがそうではないことを証明できない限り，対象範囲と解釈される場合があります。	-Level1(low risk equipment)関連する規格への適合を示すエビデンスが必要(任意の試験機関のレポートを使用可) -Level2(medium risk equipment) 関連する規格への適合を示すエビデンスが必要(任意の試験機関のレポートを使用可) コンプライアンスフォルダの作成要 -Level3(high risk equipment)関連する規格への適合を示すエビデンス(指定の試験機関での試験が必要)が必要の他, 公認機関からの適合証明書も必要

※製品出荷までの手順
EESS(電気用品安全システム)RCM該当製品についてはEESSデータベースにサプライヤーの登録が必要(レベル1,2,3機器対象)またレベル2,3の機器についてはEESSデータベースへの製品登録も必要となる。最後にRCMマークを製品に表示する。

ACMAのラベリング要件におけるRCM

規制当局/管理,ルール	対象製品	リスクレベルに基づく製品分類
ACMA/電気通信機器Telecommunications (Labelling Notice for Customer Equipment and Customer Cabling) Instrument 2015	オーストラリアの通信ネットワークまたは施設に接続する可能性のある自宅またはオフィス用製品 ※電話機, テレビセットトップボックス, ケーブルプラグ, ソケット等	–高リスクでない技術基準適用機器認証機関が作成したステートメントor技術基準への適合を示すテストレポート要 –高リスク技術基準適用機器認定ロゴ付きテストレポート, (試験は指定の試験機関で実施要) 認証機関が作成したステートメント, IECEE CBテストレポート or 電気機器の安全性を扱う州の法律に基づいて発行された証明書
ACMA/無線通信機器Radiocommunications Equipment (General) Rules 2021	無線設備が対象(携帯, モバイル機器, 車載用レーダー等)	-General Compliance level 1以下の一般規格が適用される製品・the Intelligent Transport Systems ・the Short Range Equipment 試験の要求は無いが適合を示すレポート等が必要 -General Compliance level 2一般規格以外の製品試験機関での試験が必要
ACMA/EMC Radiocommunications Labelling (Electromagnetic Compatibility) Notice 2017	EMCに関する規制住宅, 商業,工業環境で使用される電気機器が対象製品のグループ規格もしくは共通規格から適した規格を選択する ※ACMAのEMCではエミッションのみがカバーされている	-Compliance level 1 – low risk device level2とlevel3以外の装置試験の要求は無いが適合を示すレポート等が必要 -Compliance level 2 – medium risk device 次の 1 つ以上を含む機器: (a) スイッチモード電源 (b) トランジスタスイッチング回路 (c) マイクロプロセッサ (d) 整流子 (e) スリップリングモーター (f) スイッチングモードまたは非線形モードで動作する電子デバイス試験機関での試験が必要 -Compliance level 3 – high risk device AS/NZS CISPR 11に記載のあるGroup2 ISM機器が該当認定された試験機関での試験が必要
ACMA/EME Radiocommunications Equipment (General) Rules 2021 暴露限度の参照規格 the Radiation Protection Standard for Limiting Exposure to Radiofrequency fields – 100kHz to 300 GHz (2021)(the ARPANSA Standard).	人体暴露に関しての要件無線設備の規則と合わせて評価を実施する	-EME Compliance level 1 RPS S-1 Advisory Noteにて評価不要のモバイルもしくはARPANSA規格への適合不要機器と規定されている製品試験の要求は無いが適合を示すレポート等が必要 -EME Compliance level 2 level1以外でかつ人体から20cm以上離れて使用するもの試験機関での試験が必要 -EME Compliance level 3 level1とlevel2以外の装置認定された試験機関での試験が必要 ※RPS S-1 Advisory Note: 100 kHz から 300 GHz の周波数で無線周波 (RF) 電磁界を放出する機器の評価のためのガイドライン

※製品出荷までの手順
ACMA RCM該当製品については評価完了後は適合宣言書を作成サプライヤーによるサインを記入し, 必要書類(レポート, 製品説明資料等)と一緒にサプライヤーにて保管する。またサプライヤーの登録(EESSのデータベースを使用)も必要となる。最後にRCMマークを製品に表示する。